
近年、FacebookがMetaへ社名を変更したことを契機に、メタバースがビジネス分野で大きな注目を集めています。
リモートワークの普及により、社内コミュニケーションの希薄化を課題として挙げる企業が増えました。メタバースは、これを解決する新たな手段として期待されています。
本記事では、バーチャルオフィスをはじめとする活用事例や導入メリット、課題を解説します。
目次
1 そもそもメタバースとは?

メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことです。語源は「超越」を意味する「meta」と「宇宙」を意味する「universe」を組み合わせた造語です。
ユーザーは自分の分身となるアバターを操作し、仮想空間内を自由に移動したり、他のユーザーとリアルタイムでコミュニケーションを取ったりできます。
従来のWeb会議とは異なり、参加者が「同じ空間に存在する感覚」を得られる点が特徴です。ゲームやエンターテインメント分野で発展してきましたが、現在ではビジネス分野での活用が急速に広がっています。
2 メタバースのビジネスでの活用例8選

メタバースは、さまざまな業界で多様な用途に活用されています。ここでは、代表的な8つの活用例を紹介します。
2.1 バーチャルオフィス・会議室
バーチャルオフィスは、メタバースのビジネス活用において最も注目されている分野のひとつです。仮想空間上にオフィスを構築し、従業員がアバターとして出社して業務を行います。
従来のWeb会議ツールでは一方向的なコミュニケーションになりがちでした。しかし、バーチャルオフィスではアバター同士が空間内を自由に移動できるため、気軽な声かけや雑談が生まれやすくなります。
会議室に集まって打ち合わせをしたり、デスクを並べて共同作業をしたりと、リアルなオフィスに近い体験ができます。遠隔地に住む優秀な人材の採用や、育児や介護で通勤が難しい従業員の活躍機会の創出にも有効です。
メタワークオアシスでは、直感的に操作できるバーチャルオフィス環境を提供しており、社内コミュニケーションの活性化と生産性向上を実現できます。
こちらの記事では、メタバース会議のメリット・デメリットについて解説しています。Web会議との違いやはじめ方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
2.2 メタバース研修
メタバース空間を活用した研修は、従来の研修の課題を解決する新しい手法です。
製造業や建設業では、現実では再現が困難な危険な状況をメタバース上で安全に体験させられます。事故や災害のシミュレーションを通じて、従業員の安全意識を高める効果的な教育が可能です。
また、メタバース研修では、参加者同士のディスカッションや交流がしやすくなります。グループワークや意見交換が活発に行え、会場費や移動コストを削減しながら質の高い研修を実現できます。
こちらの記事では、メタバース研修について解説しています。活用例や費用も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
2.3 バーチャルストア
メタバース上に店舗を構築することで、新たな顧客接点を創出できます。バーチャルストアでは、商品を360度あらゆる角度から眺めたり、使用イメージを確認したりできます。
通常のECサイトでは得られない没入感のある買い物体験を提供できる点が特徴です。友人のアバターと一緒に店内を回遊したり、店員のアバターから接客を受けたりと、リアル店舗に近い体験ができます。
実店舗に足を運べない遠隔地の顧客や、営業時間外でも買い物を楽しみたい顧客にアプローチでき、顧客エンゲージメントの向上に貢献しています。
2.4 メタバース観光
メタバース観光は、時間や場所、身体的な制約を超えて、自宅から観光地や文化施設を体験できるサービスです。
観光地の魅力を仮想空間で再現することで、実際に訪れる前の下調べや、現地に行けない人々への観光体験の提供が可能になります。
地方自治体や観光協会が活用することで、世界中からアクセスできる新たな観光プロモーションのチャネルとして機能し、地域活性化の手段として期待されています。
2.5 ショールーム
メタバース上のショールームでは、物理的な制約を超えた革新的な演出によって、ブランドの世界観を表現できます。
自動車メーカーが仮想空間で新車発表会を開催し、試乗体験を提供する事例があります。現実では不可能な演出を通じて、ブランドのビジョンや価値観を印象的に伝えることが可能です。
実物の展示にかかるコストや場所の制約がなく、世界中からアクセスできるため、グローバルな製品発表の場としても有効です。
2.6 住宅展示場・モデルハウス
建築業界では、メタバース上に住宅展示場やモデルハウスを構築する動きが広がっています。
リアルなモデルハウスの建設には莫大な費用がかかりますが、メタバース展示場であれば大幅にコストを削減できます。顧客は自宅からいつでも内見でき、VRゴーグルを使えば臨場感のある体験ができるのも利点です。
壁の色や床材の変更など、カスタマイズ後のイメージもその場で確認でき、遠隔地の顧客や小さな子どもがいて実際の展示場に足を運びにくい層へのアプローチが可能になります。
2.7 イベント
メタバース上でのイベント開催は、会場費や設営の手間を削減しつつ、世界中から参加者を集められる点が魅力です。
展示会や商談会、音楽ライブなど、さまざまな形式のイベントがメタバースで実施されています。参加者はアバターを通じて会場内を自由に移動し、他の参加者や主催者と双方向のコミュニケーションを取れます。
花火の打ち上げや光の演出など、リアルイベントでは困難な演出も可能で、イベントデータを保存して繰り返し利用できる点もメリットです。
2.8 メタバース広告
メタバース内での広告展開は、従来の広告手法ではリーチしにくかった若年層へ効率的にアプローチできる新しい手法です。
仮想空間内のビルボードや看板に広告を配置したり、ブランドが主催するイベントを開催したりすることで、ユーザーの記憶に残る体験型のプロモーションが可能になります。
とくにZ世代と呼ばれる若年層は、メタバース空間での活動に慣れており、高いエンゲージメントが期待できます。
3 メタバースを活用したビジネスが注目されている背景

メタバースがビジネス分野で注目を集めている背景には、いくつかの重要な要因があります。技術の進化や市場の成長、社会環境の変化が相まって、メタバースは企業の経営課題を解決する現実的な選択肢となっています。
3.1 市場規模の急速な拡大が予測されている
メタバース市場は今後、飛躍的な成長が見込まれています。
総務省の情報通信白書によると、世界のメタバース市場規模は2022年の461億ドルから2030年には5,078億ドルへと、約10倍に拡大すると予測されています。国内市場においても、矢野経済研究所の調査では2028年には1兆8,700億円規模に達する見通しです。
この急速な市場拡大は、企業にとって大きなビジネスチャンスを意味します。早期に参入することで、先行者利益を獲得できる可能性が高まります。
出典:総務省「令和7年版情報通信白書 第Ⅱ部 第7節」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd217520.html)
3.2 さまざまな大手企業が参入している
世界的な大手企業が次々とメタバース分野に参入していることも、注目度を高める要因です。
Meta社は2021年に社名を変更し、メタバース事業に年間約1.1兆円もの巨額投資を行っています。Microsoftもビジネス向けメタバースの開発に注力し、ソニーもPlayStation VR2をリリースするなど、各社がメタバースを今後の成長の中核と位置づけています。
これらの大手企業の動きは、メタバースが一時的な流行ではなく、ビジネスの主流になりつつあることを示しているでしょう。
3.3 通信やVRの技術が発展している
メタバースの普及を支える技術環境が整ってきたことも、注目される重要な背景です。
VRゴーグルは、かつては高価で重量も大きく、限られた場所でしか利用できませんでした。しかし近年、スマートフォンの普及に伴う技術の進化により、数万円程度で購入できる軽量な製品が登場しています。
また、5Gや6Gといった高速通信技術の発展により、大容量のデータをスムーズにやり取りできる環境が整いつつあります。スマートフォンやPCからも簡単にアクセスできるメタバースプラットフォームも増えてきました。
3.4 仮想通貨やNFTとの相性が良い
NFTやブロックチェーン技術の発展により、メタバース内での経済活動の基盤が整ってきました。
NFTは非代替性トークンと呼ばれ、デジタルデータに唯一性を証明する技術です。ブロックチェーンにより安全に保護されるため、メタバース内の土地やアイテムをデジタル資産として取引できるようになりました。
企業は、メタバース空間で限定アイテムを販売したり、ブランド体験を提供したりすることで、新たな収益モデルを構築できます。
3.5 コロナ禍によってコミュニケーション手段が変化・多様化した
新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワークが急速に普及しました。
テレワークの浸透により、Web会議ツールを使ったオンラインコミュニケーションが日常化しました。しかし、画面越しのやり取りでは雑談や気軽な声かけが減少し、社内コミュニケーションの希薄化や孤独感といった新たな課題が見られるようになっています。
従業員同士のつながりが弱まることで、チームの一体感や帰属意識が低下したと感じる企業も少なくありません。
メタバースは、このようなリモートワークの課題を解決する手段として期待されています。アバターを通じて同じ空間に存在する感覚を得られるため、Web会議では実現できなかったリアルなコミュニケーションや一体感を取り戻すことが可能です。
4 メタバースをビジネスに活用するメリット

メタバースをビジネスに導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。コスト削減や新規顧客の獲得といった直接的な経営効果から、従業員の働きやすさの向上まで、多面的な価値を提供します。
4.1 新しい顧客層を開拓できる
メタバースは、物理的な距離の制約を超えて、これまでリーチできなかった顧客層にアプローチできます。
実店舗やリアルイベントに足を運ぶことが難しい遠隔地の顧客、時間的な制約がある顧客、身体的な理由で外出が困難な顧客など、幅広い層にサービスや商品を届けられます。
グローバルに展開する際も、各国に物理的な拠点を構える必要がなく、メタバース上で世界中の顧客と直接つながることも可能です。
4.2 物理的なコストや手間を削減できる
メタバースを活用することで、オフィス賃料や会場費、設営費といった物理的なコストを大幅に削減できます。
バーチャルオフィスの導入により、実際のオフィススペースを縮小し、賃料や光熱費を抑えられます。イベントや展示会の開催においても、会場を借りる費用や、設営・撤去にかかる人件費は必要ありません。
一度構築したメタバース空間は繰り返し利用できるため、長期的に見てコストメリットが大きくなります。
4.3 没入感のある体験を提供できる
メタバースは、従来のWebサイトやオンラインコンテンツとは異なる、高い没入感を持った体験を提供できます。
ユーザーはアバターを通じて仮想空間を「体験」するため、見たり聞いたりするだけの情報よりも、記憶に残りやすくなるでしょう。
ブランドの世界観を表現したメタバース空間を構築することで、顧客のエンゲージメントを高め、ブランドへの愛着を醸成できます。この没入感は、競合他社との差別化につながります。
4.4 ユーザーデータの収集・分析がしやすい
メタバース空間では、ユーザーの行動データを詳細に収集・分析できます。
バーチャル空間内での動線、滞在時間、どのコンテンツに興味を示したかなど、リアルな場では取得しにくいデータを把握することが可能です。
これらのデータを分析することで、顧客のニーズや関心をより深く理解し、マーケティング施策の精度を高められます。
4.5 リモートワーク環境を強化できる
メタバースは、リモートワーク環境における重要な課題を解決します。
社内コミュニケーションの活性化において、アバターを通じた気軽な雑談や声かけが可能になります。その結果、チームの一体感や帰属意識を醸成できるでしょう。
効率的なマネジメントの面では、バーチャルオフィス上でメンバーの勤務状況や作業進捗を可視化できます。
人材戦略への貢献として、遠隔地に住む優秀な人材を採用しやすくなる点も強みです。育児や介護で通勤が難しい従業員も活躍できる環境を提供でき、離職の抑止につながります。
メタワークオアシスでは、これらのメリットを実現するバーチャルオフィス環境を提供しており、場所にとらわれない柔軟な働き方と心地よいコミュニケーションを両立できます。
5 メタバースをビジネスに活用する際の課題

メタバースには多くのメリットがある一方で、導入にあたっては注意すべき課題も存在します。これらの課題を事前に理解し、適切に対処することが成功への鍵となります。
5.1 イニシャルコストがかかる
メタバース環境を構築するには、初期投資が必要になる場合があります。
オリジナルの仮想空間を一から開発する場合、3DCGのデザインやプログラミングに専門的な技術が必要で、開発コストが高額になるケースも珍しくありません。
ただし、VR機器を必須としない2Dメタバースであれば、比較的安価に導入できます。既存のメタバースプラットフォームを活用することで、開発コストを抑えられます。
メタワークオアシスのように、手頃な価格で導入できるバーチャルオフィスサービスを選ぶことで、コストの課題を軽減しながら、メタバースの恩恵を受けられるでしょう。
5.2 安定的なネットワークが必要になる
メタバースを快適に利用するには、高速で安定した通信環境が不可欠です。
メタバース空間では、リアルタイムで大量のデータをやり取りするため、一般的に10Mbps以上の通信速度が推奨されています。通信が不安定だと、映像や音声が途切れたり、円滑なコミュニケーションが妨げられたりします。
長期的な視点では、5Gや6Gといった次世代通信技術の普及により、通信環境は着実に改善されていく見通しです。
5.3 セキュリティに留意する必要がある
メタバースでのビジネス活用では、セキュリティ対策が重要な課題となります。
オンライン上で機密情報を扱う際には、不正アクセスや情報漏洩のリスクに十分な注意が必要です。メタバースプラットフォームを選定する際には、セキュリティ対策が適切に施されているか、信頼できるベンダーであるかを確認することが大切です。
メタワークオアシスは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISO/IEC 27001を取得しており、高いセキュリティレベルを保証しています。安心してビジネスでご利用いただけます。
5.4 法整備が追いついていない
メタバースは比較的新しい分野であるため、関連する法制度の整備が追いついていないのが現状です。
メタバース内での商取引や契約に関する法的な扱い、アバター間でのトラブル、ハラスメント行為への対処など、グレーゾーンが多く存在します。
企業としては、社内での行動ガイドラインやルールを明確に定めることが重要です。トラブルが発生した際の対応手順を事前に整備し、法整備の動向については継続的に情報収集を行うことが求められます。
6 まとめ

メタバースは、市場の成長と技術の進化を背景に、ビジネス分野での活用が広がっています。バーチャルオフィスやメタバース研修など、多様な活用方法により、新規顧客の開拓やコスト削減といったメリットを享受できます。
とくにリモートワーク環境の強化は、多くの企業が抱える重要な課題です。こうした社内コミュニケーションの活性化において、メタバースは効果的なソリューションとなるでしょう。
メタワークオアシスは、直感的な操作で誰でも使いやすく、気軽にコミュニケーションが取れるバーチャルオフィス環境を提供しています。ISO/IEC 27001を取得した高いセキュリティレベルで、安心してご利用いただけます。
メタバースの導入をご検討の際は、ぜひメタワークオアシスへお気軽にご相談ください。2週間の無料トライアルもご用意しております。
メタワークオアシスでは、バーチャルオフィスのサービスを提供しています。仮想オフィス導入に関する相談を受け付けております。お困りの際にはぜひお問い合わせください。