
近年、企業の人材育成において「メタバース研修」が注目を集めています。
その背景には、人材不足の深刻化や働き方の多様化があります。従来の集合研修やオンライン研修では実現が難しかった「体験型の学び」を可能にする点が評価されているのです。
本記事では、メタバース研修の基本知識から導入メリット、活用事例、注意点、費用の目安までをわかりやすく解説します。
1 メタバース研修とは?

メタバース研修とは、インターネット上の3D仮想空間を活用して行う研修のことです。参加者は自分の分身となるアバターを操作し、講師やほかの受講者と交流しながら学習を進めます。
参加方法は必ずしもVRゴーグルを使う必要はありません。対応するプラットフォームであれば、パソコンやスマートフォンからも手軽にアクセスでき、特別な機材がなくても利用できます。
VR技術は、元々教育や訓練分野を想定して発展してきたため、研修との相性が非常によいといわれています。従来の2D教材では伝わりにくい立体的な情報も、メタバース空間なら直感的に理解可能です。
2 メタバースで研修を実施するメリット

メタバース研修には、学習効果の向上や運営コストの軽減など、多くの利点があります。ここでは主なメリットを紹介します。
2.1 受講者が没頭しやすく飽きにくい
メタバース研修は仮想空間を活用した体験型の学習であり、まるでゲームに参加するような感覚で取り組めます。そのため、受講者は自然と集中力やモチベーションを維持しやすくなります。
従来の研修では、動画を視聴するだけの受け身の学習に陥りやすいという課題がありました。しかしメタバース研修では、実際にその場にいるかのような臨場感が得られるため、自発的に学習へ没頭できます。
さらに、自分のアバターを操作しながらほかの参加者と交流することで、没入感が高まり、結果的に学習効果の向上につながります。
2.2 講師や受講者との交流を通じて主体的に学べる
従来のWeb会議型研修では、グループ分けに手間がかかる、資料の共有がしにくい、全体の様子が把握しづらいといった課題がありました。
メタバース空間では、こうした制約を大きく改善できます。離れた場所にいる参加者同士でも簡単にグループを組め、場面の切り替えもスムーズです。
たとえば「メタワークオアシス」では、全体研修とグループワークをワンクリックで切り替えられるため、研修の流れを止めずに集中して進められます。
また、仮想空間上では参加者がどのフロアにいるかが一目で分かり、リアクションもリアルタイムで確認可能です。講師は受講者の反応を把握しやすく、受講者同士も互いの存在を感じながら主体的に学習へ取り組むことができます。
2.3 学んだ内容の定着率が高い
メタバース研修は、受講者が自ら考え行動するアクティブラーニングを実現できるため、知識が定着しやすいのが特徴です。
仮想空間では、自分のアバターを通じて疑似体験やディスカッション、グループワークに参加できます。こうした能動的な学びは受講者の自発性を高め、実体験に近い感覚で理解を深められるため、受け身の学習よりも記憶に残りやすくなります。
従来の一方向的な講義では「聞いて終わり」になりがちでしたが、メタバース研修では双方向のやり取りと実践的な演習が組み合わさることで、学んだ内容を現場で活かせる力へとつながります。
2.4 地理的・時間的な制約を受けない
メタバース研修の大きな魅力は、地理的・時間的な制約を受けないことです。
従来の集合研修では、会場への移動に交通費や宿泊費がかかり、時間的な負担も避けられませんでした。しかしメタバース研修であれば、全国や海外にいる社員も同じ仮想空間に集まり、どこにいても研修を受けられます。
さらに、天候や移動状況に左右されないためスケジュール調整が容易になり、快適なコミュニケーション環境を整えることができます。
2.5 失敗できる環境を整えられる
危険をともなう作業や事故のリスクがある研修も、メタバースの仮想空間なら安全に繰り返し練習できます。
現実の現場では、機械操作や医療行為の失敗が重大な事故につながるため、十分に訓練できないケースがあります。しかしメタバース研修であれば、失敗しても誰も傷つかず、何度でも挑戦が可能です。
安心して試行錯誤を重ねられることで理解が深まり、自信を持って実務に臨めるようになります。
2.6 非常時のシチュエーションを再現できる
火災や地震、事故現場といった非常時の訓練は、現実では危険や高いコストをともなうため、十分に再現するのが難しいのが実情です。しかし、メタバース研修なら、仮想空間で現実に近い状況を安全かつ比較的低コストで再現できます。
3 メタバース研修の実施例

メタバース研修は、すでにさまざまな業界で導入され、実際の成果につながっています。具体的な事例を見ることで、どのように自社の課題解決に役立つのかをより鮮明にイメージできます。
3.1 メタバースで新入社員研修
全国に拠点を持つ企業では、新入社員を一か所に集めて研修を行うことが難しい場合があります。メタバースを活用すれば、場所にとらわれず同じ仮想空間に集まり、全員が均一な研修を受けられます。
また、参加者はアバターを通じて交流できるため、同期同士のつながりや先輩社員との関係づくりにも効果的です。実際に凸版印刷やGMOペパボなどが導入し、不安解消や交流促進に成果を上げています。
こうした取り組みは、同期の結びつきを強め、チームワークの向上や組織への定着にもつながります。メタバース研修は、新入社員が安心してスタートを切るための有効な手段といえるでしょう。
3.2 エンジニア向けの開発研修
従来のエンジニア研修は講義中心になりやすく、受講者が受け身になってしまう課題がありました。メタバース研修ではアバターを通じた双方向のやり取りが可能になり、理解度に応じた指導や質問のしやすさが実現します。
さらに仮想空間でチームを組んでアプリ開発を行うこともでき、実践を通じて技術力を高めると同時に、協働力や問題解決力といったスキルも養えます。
エンジニアに不可欠なチームでの実践経験を、安全かつ効率的に積める点こそ、メタバース研修ならではの大きな強みです。
3.3 監査法人の不正会計防止研修
不正会計を見抜く力は、座学だけではなかなか身につきません。メタバース研修を活用すれば、監査役と被監査役の双方の立場を仮想空間で疑似体験できます。
現場の空気感を再現した環境で学ぶことで、不正の兆候や起こりやすい状況を具体的に理解しやすくなります。こうした体験は、実務に必要な洞察力やリスク感知力を養い、実際の監査業務に直結する力へとつながります。
3.4 看護の現場研修
医療現場での実習は、失敗が患者の安全に直結するため、新人にとって大きな心理的負担になります。メタバース研修であれば、仮想空間に病院を再現し、患者対応や採血といったシーンをアバターを通じてシミュレーション可能です。
現実のリスクをともなわない環境で繰り返し練習できる点は大きな強みです。実際に、介護施設における危険箇所の探索や利用者視点での体験に活用し、現場での対応力向上に成果を上げています。
このように、安全な環境で経験を積めることは技術の習得にとどまらず、安心して患者に向き合うための自信にもつながります。
3.5 建設現場での建築シミュレーション研修
建設業は構造物が立体的であるため、メタバースの3D空間と非常に相性のよい分野です。仮想空間で作業を事前にシミュレーションすることで、安全性を確保しながら効率的に研修を進められます。
大林組では「O-DXルーム」を新設し、玉掛け作業の研修にVRメタバースを導入しました。バーチャル空間で共同作業ができるコンテンツを開発し、全員の行動を記録・確認できる仕組みも整えています。
高齢化や人材不足が深刻化する建設業界において、メタバース研修はリスクとコストを抑えつつ、効果的に人材を育成できる新しい手段となっています。
3.6 飛行機の機体整備士の危険予知能力向上研修
ANAでは労働災害ゼロを目指し、VRコンテンツ「ANA VR Safety Training System」を導入しています。
このシステムでは、航空機整備の現場環境や過去の労災事例を仮想空間で再現しています。危険を見逃したり手順を誤ったりすると、実際に転倒するシーンを体験でき、直後にナレーションで原因を振り返れる仕組みになっています。
現実では試すことができない危険を安全に体験できるため、整備士は危険の兆候を直感的に理解でき、結果として危険予知能力を大きく高めることができます。
3.7 鉄道の事故現場のシミュレーション研修
JR東日本では、鉄道の三大労災のうち「触車」と「墜落」をVRで疑似体験できる研修を実施しています。
高額な専用機器は不要で、スマートフォンから体験できる仕組みのため、大規模な集合研修を行う必要がなく、業務への影響を最小限に抑えながら実施可能です。
事故現場をリアルに再現することで危険性を改めて認識でき、安全意識の向上に直結します。実際の事故防止につながる重要な訓練として、継続的に活用されています。
3.8 新入社員の合同研修や交流会
全国に拠点を持つ企業では、新入社員を一か所に集めて研修を行うことが難しいケースがあります。メタバースを活用すれば、場所にとらわれず集合でき、全員に同じクオリティの研修を提供可能です。
また、参加者は自分のアバターを通じて自由に交流できるため、研修の場にとどまらず交流会としても機能します。
4 メタバースを研修に活用する際の注意点・課題

メタバース研修には多くのメリットがありますが、導入にはいくつかの課題もあります。あらかじめ把握しておけば、適切な対策をとることができます。
4.1 導入コストの高さ
メタバース研修の課題のひとつは初期費用です。
独自のVRコンテンツを制作する場合、内容や再現度によっては数十万円から1000万円以上かかることもあります。さらに、VRゴーグルなどの機材を受講者分そろえる必要があり、まとまった投資が必要です。
ただし、一度作成したコンテンツは繰り返し利用できるため、会場費や交通費など従来の研修にかかっていたコストを考慮すると、長期的には費用対効果の向上が期待できます。
また、初期投資をできるだけ抑えたい場合は、既存のプラットフォームを活用する方法も有効です。たとえば「メタワークオアシス」のように比較的低コストで導入できるサービスを選べば、導入のハードルを大きく下げられます。
4.2 VR酔いの可能性
VRを使った研修では、頭痛や吐き気といった「VR酔い」が生じる可能性があります。これは視覚と身体感覚のずれによって起こり、乗り物酔いしやすい人ほど発症しやすいとされています。
ただし「メタワークオアシス」のようにPCやスマートフォンから利用できる2D型プラットフォームを活用すれば、VRゴーグルを使わずに参加できるため、VR酔いのリスクを避けることが可能です。
4.3 効果測定の難しさ
VR研修は体験を通じて学ぶ形式であるため、従来の筆記テストだけでは理解度や成果を正確に測りにくい側面があります。とくに「体験から何を学び、それを業務にどう活かしているのか」を定量的に評価するのは容易ではありません。
この課題に対応するためには、まず研修の目的を明確にし、事前に評価指標を設定しておくことが重要です。研修前後のスキルチェックや、実務における行動の変化を観察するなど、従来とは異なる評価方法が必要になります。
さらに、受講者のフィードバックを継続的に収集・分析し、改善に反映させることで、研修効果を高め続けることが可能になります。
5 研修にメタバースを導入する際にかかる費用の目安

メタバース研修を検討する際、多くの企業が最初に気にするのが導入費用です。ここでは、導入方法ごとのおおよその相場を紹介します。
5.1 研修用メタバース空間を独自に開発する場合
独自の研修用メタバースを構築する場合、費用は100万円から1,000万円以上と幅があります。利用するプラットフォームや機能の充実度によって工数が変わるためです。
VRChatやDOORをベースにすれば100万円程度から始められますが、ゼロから開発する場合はシンプルでも500万円ほど、機能を追加すれば1000万円以上になることもあります。
独自開発の強みは、自社の研修ニーズに合わせたコンテンツを自由に作れる点です。ただし開発期間は長くなる傾向があるため、スケジュールには余裕を持つ必要があります。
5.2 既存のプラットフォームを利用する場合
既存のVR研修コンテンツやプラットフォームを使えば、比較的安価に導入できます。パッケージ型は30万〜100万円、レンタル形式なら月額5万〜10万円程度、サービスによっては月額3万円前後から利用できるものもあります。
初期コストが抑えられるのは大きな利点ですが、自社の目的に合わない場合もあるため、機能や提供内容を事前に確認することが重要です。
メタワークオアシスは競合より低コストで、月額21,000円から導入可能です。2週間の無料トライアル期間があり、準備やリハーサルを行ってから本番研修に臨める点も安心です。
既存プラットフォームは短期間で導入できるため、急な研修ニーズや小規模からの試行にも適しています。
5.3 リモートワークに活用する場合
メタバースをリモートワークに利用する場合、費用は無料から月額5万円程度と低コストです。Horizon WorkroomやGatherなど無料で使えるサービスもあり、有料でも月額数万円で導入できます。
社員が自分の分身で仮想オフィスに参加することで、リモートワークで不足しがちなコミュニケーションを補えます。
「メタワークオアシス」はリモートワークや複数拠点の連携に特化したプラットフォームで、気軽な雑談やメンバーの様子の把握を可能にします。チームの一体感を維持できるため、研修だけでなく日常業務のコミュニケーション改善にも役立ちます。
5.4 デバイスを購入する場合
没入感を高めたい場合は、VR/MRゴーグルの購入が必要になります。価格は機能によって大きく異なり、HoloLensは約40〜60万円、Meta Quest Proは約15万円、Meta Quest 2は約5万円程度です。
なお、「メタワークオアシス」のような2Dプラットフォームならパソコンやスマートフォンで利用できるため、専用デバイスを購入せずに導入できます。
6 まとめ

メタバース研修は、学習効果の向上やコスト削減、実践的な訓練、場所や時間の制約の解消など、多くのメリットをもたらします。
一方で、導入コストやVR酔い、効果測定の難しさといった課題もあるため、自社に合った導入方法を選ぶことが大切です。
「メタワークオアシス」は、場所を選ばず快適にメンバーと交流できるバーチャルプラットフォームです。クリック操作で直感的に使え、離れている仲間の様子を把握しやすいため、社員のエンゲージメント向上にもつながります。
また、比較的低コストで導入でき、VR機器を必要としない2D型メタバースである点も大きな魅力です。まずは無料トライアルで気軽にお試しください。
メタワークオアシスでは、バーチャルオフィスのサービスを提供しています。仮想オフィス導入に関する相談を受け付けております。お困りの際にはぜひお問い合わせください。