テレワークやリモートワークが当たり前になった今、オンライン会議では一体感の薄さやコミュニケーション不足が目立つようになりました。そこで注目されているのが、仮想空間でアバターを介して集まる「メタバース会議」です。
本記事では、メタバース会議のメリットとデメリット、通常のWeb会議との違い、そして導入の手順までをわかりやすく解説します。
メタバース会議と通常のWeb会議の違い
両者の大きな違いは「場所の感覚」と「コミュニケーション方法」にあります。
Web会議は画面越しに一人ずつ話す形式で、効率的ですが臨場感に欠けます。一方、メタバース会議ではアバターとして仮想空間に集まり、複数人で自然に会話したり、偶発的な交流を生んだりできます。
この違いが、会議の雰囲気や一体感に大きく影響します。それぞれの特徴をもう少し具体的に見ていきましょう。
メタバース会議の特徴
メタバース会議は、参加者がアバターとして仮想空間に集まり、実際に同じ場所で話しているような感覚を得られるのが特徴です。
- 偶発的な交流
会議を事前に設定しなくても、仮想オフィスに入室すればその場にいる人と自然に会話が始められます。オフィスで「近くにいたから声をかける」といった雑談に近い交流が再現できます。 - 視覚的な情報共有
ホワイトボードへの共同書き込みや3Dオブジェクトの表示、PC画面の共有などが可能です。言葉だけでは伝わりにくい内容も、直感的に理解できます。
このように、臨場感と柔軟なコミュニケーションが両立できるのがメタバース会議の強みです。
通常のWeb会議の特徴
ZoomやMicrosoft TeamsなどのWeb会議には、次のような特徴があります。
- 一人ずつ話す形式
ホストが進行し、参加者は順番に発言します。秩序のある進行が求められる場面に向いています。 - アーカイブ機能
録画・録音が簡単で、欠席者の視聴や内容の振り返りに役立ちます。議事録作成の手間も軽減できます。
シンプルで効率的なやり取りに強いのが、Web会議の特徴です。
メタバース会議と通常のWeb会議はどちらを選ぶべき?
メタバース会議とWeb会議は、目的や参加者の状況によって適性が変わります。大切なのは、どちらか一方のみを選ぶのではなく、シーンに応じて使い分けることです。
次に、それぞれがおすすめとなるケースを具体的に見ていきましょう。
メタバース会議がおすすめのケース
メタバース会議は、活発な交流や創造的な作業が求められる場面に向いています。
- 採用イベントや説明会
企業の雰囲気を伝えやすく、応募者との双方向のやり取りがスムーズです。とくに若年層への先進性アピールにも効果的です。 - ブレインストーミングやワークショップ
複数グループで同時に議論でき、ホワイトボードを使ったアイデア共有も直感的に行えます。 - チームビルディング
偶発的な雑談が生まれやすく、メンバー同士の距離を縮めるのに役立ちます。リモートワークで不足しがちな一体感を補えます。 - 国際会議やグローバルプロジェクト
常時接続の仮想オフィスなら時差をまたいだ柔軟な参加が可能です。翻訳機能付きのツールを使えば、言語の壁も低くなります。
通常のWeb会議がおすすめのケース
Web会議は、効率的で秩序のある情報共有が必要な場面に向いています。
- 定期的な業務報告や進捗確認
決まった流れで進行でき、限られた時間内で必要な情報を効率的に共有できます。 - セミナーや研修
講師主体で進める一方向の情報伝達に適しており、大人数にも対応しやすいです。 - クライアントとの商談
フォーマルな場面では安心感を与えやすく、資料共有や録画機能も有効です。 - 緊急性の高い会議
問題対応や意思決定など、迅速さが求められるシーンでは参加の手軽さと安定性が強みになります。
メタバースで会議をするメリット
メタバース会議を取り入れることで、リモートワークで生じやすい課題を補い、新しい働き方の価値を生み出せます。とくにコミュニケーション不足に悩む企業にとっては、組織力を高める有効な手段となるでしょう。
ここでは、メタバース会議がもたらす4つの主要なメリットを紹介します。
場所の制約を超えた一体感を実現できる
メタバース会議の大きな魅力は「距離を感じさせない一体感」です。アバターを通じて同じ仮想空間を共有でき、まるで同じ部屋にいるような臨場感が得られます。
また、世界中どこからでも参加できるため、出張費や交通費の削減に加え、オフィス維持費の縮小にもつながります。リモートワークの弱点を補いながら、経済的なメリットも得られるのが特徴です。
偶発的な会話と非言語コミュニケーションが活きる
メタバース会議では、リモートワークで不足しがちな「何気ない会話」や「ちょっとした雑談」が自然に生まれます。
仮想オフィスに入ると、その場にいるメンバーの様子が一目で把握でき「今は声をかけてもよさそうだ」「忙しそうだから後にしよう」といった判断がしやすくなります。こうした小さなやり取りが積み重なることで、仕事の合間に自然な交流が生まれ、チームの関係性が深まります。
視覚的な情報共有と共同作業で生産性が向上する
メタバース会議では、Web会議では難しかった複雑な情報共有や同時進行の作業がスムーズにできるよう、便利な機能を備えているものもあります。機能の一例を紹介しましょう。
- バーチャルホワイトボード
複数人が同時に書き込みでき、付箋やマインドマップを使ってアイデアを整理できます。ブレインストーミングが効率的になり、発想の幅も広がります。 - 並行作業の実現
同じ空間で複数チームが同時に作業でき、必要に応じて声をかけ合ったり進捗を共有したりできます。従来のWeb会議では難しかった複数名での同時画面共有が可能なメタバースツールも存在しており、同時に資料を参照し合うことも可能です。
このように、視覚的でリアルタイムな共同作業は、生産性向上に直結します。
企業ブランディングにつながる
メタバース会議の導入は、企業の先進性を示す大きなチャンスになります。
たとえば、採用活動では面接や説明会を仮想空間で行うことで「最新技術を積極的に取り入れる会社」という印象を与え、若年層を中心とした優秀な人材の獲得につながります。顧客や取引先との打ち合わせに活用すれば、革新的な企業イメージを強く訴求できるでしょう。
導入事例はまだ少ないため、業界メディアに取り上げられる可能性も高く、認知度向上や競合との差別化にも効果を発揮します。
メタバースで会議をするデメリット・注意点
メタバース会議には大きな可能性がありますが、導入前に知っておきたい課題もあります。あらかじめ理解しておけば、適切な対策を取ることでスムーズに活用できます。
ここでは、代表的な4つのデメリットとその対策を紹介します。
一定以上のスペックのPCが必要になる
3D空間を利用するメタバース会議では、高性能なPCが必要になる場合があります。スペックが不足すると、映像のカクつきや音声の途切れ、アプリのフリーズといった不具合が起こり、会議が円滑に進まなくなります。
すべての従業員に高スペックPCを用意するのは現実的ではありません。その場合は、2Dベースのメタバースツールを選べば、一般的なビジネス用PCでも快適に利用できます。
システム導入に費用がかかる
メタバース会議を導入するには、初期費用や月額料金などのコストが発生します。ただし、オフィス維持費や交通費の削減、生産性向上による成果を考慮すると、中長期的に投資を回収できる場合も少なくありません。
既存のWeb会議ツールと併用したり、VR機器不要の2Dメタバースを選んだりすることで、初期コストを抑えることも可能です。
操作に慣れるまで時間がかかる
メタバース会議は従来のWeb会議とは操作感が異なるため、慣れるまでに時間がかかることがあります。とくに普段パソコンを使う機会が少ない人にとっては、最初のハードルが高く感じられるかもしれません。
対策としては、事前の操作説明会やマニュアルの配布、サポート役となるメンター制度の導入が効果的です。あわせて、シンプルで直感的に使えるツールを選ぶことで、習得にかかる時間を大幅に短縮できます。
3D酔い・VR酔いをする可能性がある
VRヘッドセットを使ったメタバース会議では、3D酔い・VR酔いが起こる場合があります。これは視覚で感じる動きと体の感覚がずれることで生じ、急な移動や視点変更でとくに出やすくなります。
対策としては、30分に1回ほどの休憩を取る、最初は短時間から始めて徐々に利用時間を延ばす、体調が優れないときは利用を控えるなどが効果的です。なお、2Dベースのメタバース会議はVR機器が不要なため、こうした心配がありません。
メタバース会議の始め方
メタバース会議は、正しい手順を踏めば簡単に導入できます。技術的なハードルを感じる企業も少なくありませんが、実際には3つのステップで始められます。
ここからは、その具体的な流れとポイントを紹介します。
1:VR機器を用意する(なくても実施可能)
メタバース会議には、VRヘッドセットを使う方法と、PCやスマートフォンから参加する方法があります。
- VRヘッドセット利用
没入感を重視する場合は、Meta QuestやHTC VIVEといった専用機器を使うと効果的です。ただし数万円から十数万円と導入コストは高めです。 - PC・スマートフォン利用
多くのツールはVR機器なしでも利用可能で、画面やタッチ操作でアバターを動かせます。とくに2DメタバースならWeb会議と同程度の環境で使え、VR酔いのリスクもなく導入しやすいのが特徴です。
2:プラットフォームのアカウントを作成する
メタバースツールのアカウント作成は、メールアドレスとパスワードを登録し、確認メールのリンクをクリックするだけで完了することがほとんどです。
GoogleやMicrosoftアカウントと連携できるサービスも多く、シングルサインオンを活用すればログインの手間も省けます。
さらに、多くのツールには14日〜1か月程度の無料トライアルがあるため、まずは試用して自社の利用シーンに合うかを確認すると安心です。
3:アバターを設定する
アバターはメタバース空間での自分の分身となる存在です。見た目に個性を反映させることで、見分けがつきやすく、相手にも親近感を与えます。
また、2Dメタバースではアバターの代わりにアイコンを使うケースもあります。SNSやビジネスチャットで馴染みのある形式なので抵抗感が少なく「この人といえばこのアイコン」という安心感も生まれやすいのが特徴です。
こうした設定を工夫することで、新しいツールでも自然にコミュニケーションを始めやすくなります。
メタバース会議におすすめのツール・アプリ5選
メタバース会議に使えるツールは数多くありますが、導入効果は企業規模や予算、利用シーンによって変わります。ここでは代表的な5つを取り上げ、それぞれの特徴や活用に向いている場面を紹介します。
メタワークオアシス
当社が提供する「メタワークオアシス」は、どこにいても自然にコミュニケーションが取れるバーチャルプラットフォームです。参加者はアバターとして同じ空間に集まり、自由に行動しながらリアルタイムで会話や交流が可能です。
クリック操作だけでアバターを動かせる直感的なUIを備えており、あらかじめ会議をセッティングせずともわずか2クリックですぐに会話を始められます。「一言だけ質問したい」「今思いついたアイディアを隣の人と気軽に共有したい」といった、本当のオフィスにいるかのようなアクションが可能になるのです。
PCやスマートフォンからアクセス可能なため、専用機器の準備も不要です。すでに中規模企業を中心に導入が進んでおり「操作が簡単」「コスト負担が少ない」といった評価をいただいています。
「メタワークオアシス」の資料ダウンロード・無料トライアルはこちらからご覧ください。
Horizon Workrooms
Meta社(旧Facebook)が提供するHorizon Workroomsは、VRに特化した代表的なメタバース会議ツールです。
無料で最大50名まで接続でき、そのうち16名がVRで参加できます。本格的な没入型会議を体験でき、バーチャルホワイトボードへの書き込みや、物理デスクやキーボードをVR空間に持ち込める機能、高品質な空間オーディオを備えています。
デザインや建築など立体的な表現が必要な業務や、臨場感を重視する国際会議に適しています。一方でVRヘッドセットが必須となり、初期投資や操作習熟に加え、長時間利用時のVR酔いへの配慮も欠かせません。
Microsoft Mesh
Microsoft社が提供するMicrosoft Meshは、Teamsの環境にメタバース機能を組み込める拡張サービスです。
Microsoft 365をすでに利用している企業であれば、追加投資を抑えて導入できます。PowerPointやExcelといったOffice製品とも連携できるため、資料の共有や共同編集もスムーズです。
管理者向け機能も整っているため、IT部門での運用も容易です。
oVice
oVice株式会社が提供するoViceは「オンラインでのコミュニケーションを最大化」を掲げる2Dメタバース会議ツールです。
アバターの距離に応じて音量が変わる仕組みで、近くにいる人とは自然に会話ができます。バーチャル空間全体を見渡せるため、誰がどこにいるかも直感的に把握できます。
すでに4,000社以上、18万人超が利用しており、スタートアップから中小企業まで幅広い導入実績があります。ZoomやSlack、Googleカレンダーなどとの連携機能も豊富で、既存環境にスムーズに組み込めます。
Gather
Gather Presence社が提供するGatherは、ドット絵RPG風の2Dマップが特徴のメタバース会議ツールです。ゲーム感覚で親しみやすく、とくに若い世代に受け入れられやすいデザインとなっています。
マップは自由にカスタマイズでき、企業独自の仮想オフィスを作成可能です。「Mapmaker」機能を使えば、集中作業のためのプライベート空間と、交流を促すオープンエリアを使い分けられます。距離によって音量が変化するため、自然な会話の距離感も再現できます。
まとめ
メタバース会議は、リモートワークで生じやすいコミュニケーション不足を補う新しい手段として注目されています。Web会議では得られない臨場感や一体感を体験できることで、チームの結束力を強め、生産性を向上させる効果が期待できます。
ただし、高いPCスペックが必要になるケースやVR酔いのリスクといった課題もあるため、まずは2Dメタバースから段階的に導入することがおすすめです。
「メタワークオアシス」は、場所にとらわれず、どこにいても心地よくメンバーとコミュニケーションを取れるバーチャルプラットフォームです。クリックベースで直感的に操作でき、離れているメンバーの様子を把握しやすくなることで、社員のエンゲージメントを高められます。
比較的低コストで導入でき、VR機器も不要な2Dメタバースなため、導入しやすさも大きな特徴です。まずは無料トライアルで気軽にお試しください。